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原発比率、具体性欠く国民的議論 政策にどう反映するか不透明

  • 2012年8月21日
  • 13:40
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 エネルギー基本計画見直しの中で、原発をどう位置付け直すか―。政府は2030年の原発比率として「0%」「15%」「20~25%」の三つの選択肢を示し、意見聴取会を開くなどして「国民的議論」を重ねてきた。

 全国11都市での意見聴取会では、意見表明の希望者のうち0%支持が約7割を占めた。パブリックコメントで寄せられた意見は8万9千件超。新たな手法として討論型世論調査も行われた。

 ただ、議論が深まったとは言い難いのが現状。「日本の公共政策の中で選択肢が出てきて国民が選ぶというのは画期的」(植田和弘京都大大学院教授)という声がある一方で、どの選択肢も問題を抱えている。政策にどう反映されるのか、脱原発を求める側も原発維持派も厳しい目を向けている。

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 「三つのシナリオはいずれも実現可能性や経済に及ぼす影響など問題が多い」。経団連は7月下旬にまとめた意見書でこう指摘。過大すぎるとの声も多い再生可能エネルギーの導入や省エネについて具体的な見通しを示すよう求めた。

 政府のシナリオでは0%を選択した場合、現状では設置不可能な住宅も改修して1200万戸に太陽光発電設備を取り付ける必要がある。風力発電は東京都の面積の2・2倍の敷地に建設し、自動車は総数の3割を電気自動車にする。省エネ性能に劣る設備には規制を掛けるといった内容だ。

 大阪市での意見聴取会で0%支持の女性は「できない理由を並べ、15%ならできそうだと言っているように聞こえる」と政府の見解を求めた。古川元久国家戦略担当相は「政府として意図的に(結論を)誘導しようということはない」と答えるのが精いっぱいだった。

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 政府が“落としどころ”と想定しているでは―と見る向きが多い15%案は、原発を新増設せず、運転期間を40年で制限する規制強化策を踏まえた「自然体」での原発運用に相当するシナリオだ。

 だが、県幹部は「この想定は現実的ではない」と指摘する。設備利用率(稼働率)を80%以上と想定しており、10年実績の68・3%(日本原子力産業協会調べ)と比べても10ポイント以上の開きがあるからだ。15%維持のためには新増設も必要になるという矛盾をはらんでいる。

 40年を超えたり、原子炉の真下で活断層が確認された原発など、具体的にどれを廃炉とし、どれを再稼働させるのか議論しないまま、原発比率だけを決める政府のやり方に立地地域は懐疑的だ。

 四国電力伊方原発を抱える愛媛県の中村時広知事は7月の全国知事会議で「地域ごとの個別的安全基準を徹底的に議論してほしい。『脱』か『推進』かという単純な議論はまずい」と訴えた。運転年数だけでなく炉型、活断層の有無といったさまざまな条件の検討が必要と考えるからだ。

 福井県の西川一誠知事も「冷静で合理的、現実的な判断が必要」と述べ、「地に足の付いた議論」を求めた。

 寄せられた国民の声をどう集約し、政策に反映するかを検討するため、政府は急きょ専門家会合を設置。結論の見えない議論がなお続く。

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 国民的議論を経て将来のエネルギー政策をどう決めるのか。課題を追った。


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