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高速増殖炉実用化目標は”逃げ水” 「もんじゅ」漂流・ナトリウム漏れ事故16年(下)

  • 2011年12月8日
  • 16:01
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原子力研究開発利用長期計画での高速増殖炉の研究開発目標
原子力研究開発利用長期計画での高速増殖炉の研究開発目標

 使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、原発で再利用する核燃料サイクルは、国の原子力政策の柱だ。消費した以上の燃料ができるとされる高速増殖炉は資源小国の日本にとって「夢の原子炉」であり、核燃料サイクルの中核と位置付けられてきた。

 国の原子力利用の基本方針として1956年から約5年ごとに策定されてきた原子力研究開発利用長期計画(長計)で、高速増殖炉は「国情に最も適合」(56年)、「将来の原発の主流」(67年)、「将来の原発の本命」(87年)などと重視されてきた。

 67年の長計では実用化の目標時期が「昭和60年代初期(80年代後半)」と初めて具体的に盛り込まれた。原型炉は「昭和40年代後半に建設着手、50年代に運転開始」とされた。

 しかし、改定のたびに目標は先送りされた。

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 原型炉の「もんじゅ」(福井県敦賀市)が実際に着工したのは1985年。94年版の長計で実用化のめどは「2030年ごろ」にまでずれ込んだ。

 もんじゅは94年に臨界にこぎ着けたものの、95年に起きたナトリウム漏れ事故は計画の遅れを決定的にした。2000年の長計で、高速増殖炉の位置付けは「将来の有力な選択肢」へ後退。実用化の目標は「時期を含め柔軟かつ着実に検討」と具体的な年代の記述が消えた。

 長計に代わり05年に策定された現行の原子力政策大綱では表記が復活。「50年ごろ」とされた。

 「目標が70年間先延ばしになる政策はあまりない」。11月の政府の提言型政策仕分けで、委員の玉木雄一郎衆院議員はこう疑問を呈した。京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「おそらく、このまま永遠に夢にはたどり着けない」とみる。

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 逃げ水のように目標が遠のく一方で、研究開発に投じられるカネはどんどん膨らんでいった。

 会計検査院は11月、もんじゅの総事業費は従来の公表額を上回り、10年度末で約1兆810億円に上ると指摘した。建設費が5886億円。維持管理には年間約200億円が注ぎ込まれている。

 衆院決算行政監視委員会が11月行った「国会版事業仕分け」では、実用化のめどが立たない研究開発に多額なコストがかかっていることに批判が集中した。

 高速増殖炉開発だけでなく、核燃料サイクル自体のコストにも厳しい目が向けられている。

 原子力委員会の小委員会は10月、核燃料サイクルの費用を試算。再処理せずに直接処分する場合に比べて約2倍との結果が出た。

 原子力委は04年にもコスト比較を行い、再処理の方が直接処分より費用はかかるが、総合的には再処理の妥当性が高いとしていた。しかし、今回は原子力政策自体が岐路に立っている。

 推進派には「いったん歩みを止めてしまうと、蓄積してきた技術、人材を失ってしまう」(八木誠電気事業連合会会長)と危機感が漂う。

 「科学的で幅広い冷静な議論の下で、総合的で責任ある方向性が示されるべきだ」。西川知事は2日の県会答弁で、高速増殖炉開発は長期的な政策であり、国際的な動向も踏まえた検討が必要と訴えた。


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