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原発基準地震動、異例の検証へ 2年前にも「過小評価」指摘

  • 2016年6月19日
  • 08:54
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震源断層の長さと面積
震源断層の長さと面積

 関西電力大飯原発などの基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)が、計算式の不備が原因で過小評価されている可能性を原子力規制委員会の前委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学)が指摘。慌てた規制委が島崎氏から説明を受け、検証を検討する異例の展開になった。

 島崎氏の指摘が重要な新知見と確認されれば、規制委の審査基準改定や、一部原発の再審査も必要になる。だが、実は規制委は2年前にも同じ問題を指摘されていた。

 ▽二重基準

 発端は2014年3月、国会内の会合で原子力規制庁のベテラン審査官を長沢啓行・大阪府立大名誉教授(工学)が追及したことだった。震源断層の面積から地震の規模(地震モーメント)を見積もる計算式は、北米の地震データに立脚し、日本の原発で適用すると過小評価につながる―。

 現在、基準地震動の計算では、断層面積を重視する入倉孝次郎・京都大名誉教授(強震動地震学)らによる「入倉・三宅」の計算式を、津波対策では断層長さを重視する武村雅之・名古屋大教授(地震学)による「武村」の計算式を使い、モーメントを求めている。

 ところが、大飯原発直近の断層が起こす地震を想定すると、同じ断層なのに「武村」よりも「入倉・三宅」で計算した方が、モーメントが小さくなる。このため基準地震動を小さく見せることを目的とした「二重基準」との批判が他からも出ていた。

 答えに窮した審査官は、島崎委員長代理らに相談して検討すると約束。その場を切り抜けた。

 ▽検証

 審査官から相談を受けた当時、島崎氏は多忙で時間的余裕はなかった。「実際のデータに合うのは武村と入倉・三宅の中間あたりだろうと思い、真面目に相手をしませんでした」と振り返る。規制庁に検討を指示したものの、報告はなかった。

 島崎氏は14年9月の退任後、1人で本格的な検証作業を始めた。過去のデータを基に比較したところ、島崎氏自身が提唱した計算式や「武村」など、断層長さに注目した手法に比べ、「入倉・三宅」のモーメントが4分の1程度と小さいことに気付いたという。

 島崎氏は、長沢氏の指摘を「ポイントを突いた議論だった」と話す。

 ▽本音

 震源断層の面積は、地表に現れる「断層長さ」と、割れて揺れを生じる硬い岩盤の厚さ「断層幅」を掛けて計算する。垂直に近い断層では幅が短くなるため、長さが同じでも面積が小さくなり、過小評価となる危険が高い。こうした断層は西日本に多く、島崎氏が担当した関電の大飯や高浜、九州電力の玄海(佐賀県)などの審査でも対象となった。

 島崎氏は今月、大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟控訴審(名古屋高裁金沢支部)でも同趣旨の陳述書を提出。規制委が島崎氏の指摘を受け入れると、各地の訴訟にも影響が及ぶ。規制庁幹部は「中長期的課題だ」と、対応を先送りしたいとの本音をのぞかせる。


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