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原発は迷惑施設か共生か 「原発マネー」40年(5)

  • 2010年5月29日
  • 15:39
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電源立地地域対策交付金をめぐり増子輝彦経済産業副大臣(中央)も出席して開かれた意見交換会。住民からも使いやすく改善を求める声が上がった=2010年1月、福井県敦賀市役所
電源立地地域対策交付金をめぐり増子輝彦経済産業副大臣(中央)も出席して開かれた意見交換会。住民からも使いやすく改善を求める声が上がった=2010年1月、福井県敦賀市役所

 河瀬一治敦賀市長「庁舎にかかる経費や人件費に充てられるようにしてもらいたい」

 山口治太郎美浜町長「起債の償還金にも充当できるように」

 電源三法交付金の一つ、電源立地地域対策交付金をめぐり2010年1月、福井県敦賀市で開かれた経済産業省との意見交換会で、地元首長からは自治体の裁量拡大に期待の声が相次いだ。政府の事業仕分けで、使途の自由化を含め「見直す」と判定されたからだ。

 交付金は、立地地域の振興や住民生活の利便性向上につながる「目に見える形」であるべきだとの考え方から、2003年度まではハード事業に限定されていた。人件費や借金返済にも使えるようになれば交付金が限りなく一般財源に近づき、本来の目的から変容してしまうとの懸念があった。

 しかし、おおい町の時岡忍町長は「『何に使ってもよい』というのが最も地域の活性化につながる」とし、むしろ一般財源に近づけるべきだと訴える。嶺南の市町長に共通した思いだ。

  ■  ■  ■

 「原発は迷惑施設」。昨年の事業仕分けでは、経済産業省側からも仕分け人からも、あからさまな表現が乱れ飛んだ。交付金とは原発立地地域の“負担”と消費地の“受益”のバランスを取るための措置、つまりは「迷惑料」との位置付けが鮮明にされた。

 原発を抱える県内の自治体はかねがね「原子力と地域の共生」を強調するが、そうした理念とは対極的な議論だった。

 原子力資料情報室の西尾漠共同代表は「『迷惑施設には(国は)カネを出せばいい』という考えだ」と批判。原発反対県民会議の吉村清代表委員も「交付金がどれだけ地域振興につながっているのか」と厳しい目を向ける。

 負担に見合う地域振興がなされていないとの立地地域の根強い不満は、電力の消費地に対してだけでなく、嶺北との格差にも向けられる。

 「嶺南の貢献で入った税金や交付金、核燃料税は嶺北のハコモノ建設にも多く使われている。確かに人口の比率などでみれば嶺南の配分割合は低くなるのかもしれないが、長い歴史の中で苦労してきた地元に適正に配分されているのか、県としての使途、配分に疑問を感じる」

 美浜町で原発の運転が始まった同じ時期に、地元に生まれ育った男性(39)は、多くの住民の思いを代弁するようにこう訴える。問題の本質は、一極集中した負担と不十分な受益とのアンバランス、地域経済のありようといった「沖縄の基地問題にも相通じるナイーブな問題」というのだ。

  ■  ■  ■

 県立大地域経済研究所が3月にまとめた「原子力発電と地域経済の将来展望に関する研究」結果では、立地地域では電源三法交付金などによる財政効果が大きかったとしながらも、期待された製造業の発展は見られなかったと分析している。

 こうした現実、反省から県が05年から進めるのがエネルギー研究開発拠点化計画。レーザー、センサー、ロボットなど幅広い原子力関連技術を県内企業に移転しての産業育成や、人材育成の拠点づくりなどを模索する。「迷惑施設というイメージを一新し、地域に活力を呼ぶための自己努力」(西川知事)だという。

 原発マネーをてこにしつつ、過度の依存からは脱却しようとする試みが根を下ろすか。地域の将来像をどう描くかという問題と不可分だ。(おわり)

  ×  ×  ×

 福井県内で原発が運転を始めて40年。自治体や住民にはさまざまな形で「原発マネー」がもたらされた。生活の基盤を底上げする一方、原発への依存は強まっている。立地地域の今を見つめた。


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