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原発と町政は不可分な関係 「原発マネー」40年(2)

  • 2010年5月26日
  • 15:19
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福井県内原発立地市町の2008年度の財政状況
福井県内原発立地市町の2008年度の財政状況

 関西電力が福井県美浜町で2010年1月開いた町民との懇談会で、地元からは11月に運転開始から40年となる美浜原発1号機に意見が集中した。「あと何年動かすのか」といった声に加えて「技術的には大丈夫と思うが、古いものは不安。新設を考えて」。廃炉と新設を並行して進めるリプレース(置き換え)待望論も相次いだ。

 オブザーバーとして参加していた山口治太郎町長は、区長や各種団体代表が声を上げる姿に「増設問題が町内でここまで浸透しているのか」と目を見張った。「原子力を進めてきた町のことを関電は真摯(しんし)に考えるべきだろう」と、増設の必要性を再認識した。

  ■  ■  ■

 美浜原発増設をめぐっては2001年、町商工会などが提出した増設推進の請願・陳情を美浜町会が採択。地元として増設を求める意思をいち早く鮮明にしてきた。背景となっている理由は、町の財政の推移から読み取ることができる。

 町の歳入を決算額でみると、1号機運転に伴う固定資産税が入り始めた1971年度には前年度の5億7千万円から10億6千万円へとほぼ倍増。3号機運転開始後の77年度には関電からの税収が14億1千万円に上り、歳入は32億円に増えた。71年度以降、93、94年度を除き関電からの税収は町税総額の半分以上を占め続けている。

 ただ、固定資産税は設備の減価償却により目減りし、77年度以降は徐々に減少。3基で蒸気発生器を交換するという大型工事を受け95年度以降にいったん増加したものの、98年度の21億7千万円をピークに関電からの税収は再び下降線をたどっている。増設すればまた新たな税収や電源三法交付金が見込めるというわけだ。

  ■  ■  ■  町民は半世紀近く、原発と共生してきた。働き盛りの町民の3分の1は原発関係の仕事に従事。小中学校や公民館、体育館など町の公共施設の多くは電源三法交付金で造られた。わかさ東商工会の野瀬成夫美浜地区会長は「原発がなくなっていくと、町の方向付けが狂う」と語る。

 「1号機の誘致当初は25年ぐらいの運転しか考えていなかった。せいぜい30年。その後は更地にして返す予定だった」と山口町長は振り返る。営業運転開始から11月で40年を迎え、町の発展と原発の存在は切っても切れない関係になった。関電の想定する50年運転、さらにはリプレースが実現すれば、関係はより強まることになる。

 反原発グループ「若狭連帯行動ネットワーク」メンバーの松下照幸元町議は「増設は問題外。美浜3号機の死傷事故で町民の安全意識は高まったはず。地域振興に役立つと言っても、3基も造れば普通は増設は望まない」とこれ以上の依存に警鐘を鳴らす。

 関電の原発では、美浜に続いて高浜1、2号機が数年後には運転40年を迎える。野瀬豊高浜町長は取材に対し「リプレース(置き換え)を視野に入れる必要がある」と打ち明けた。美浜町の動向は行方を占う一つの試金石となりそうだ。

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 福井県内で原発が運転を始めて40年。自治体や住民にはさまざまな形で「原発マネー」がもたらされた。生活の基盤を底上げする一方、原発への依存は強まっている。立地地域の今を見つめた。


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