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国策の核燃サイクル、地元は常に負担 高浜原発プルサーマル 背水の再始動(下)

  • 2008年2月5日
  • 14:42
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今春にも本格操業が予定される使用済み核燃料再処理工場。プルサーマルなど核燃料サイクルは国策として進められているが、課題が山積している=2006年3月、青森県六ケ所村
今春にも本格操業が予定される使用済み核燃料再処理工場。プルサーマルなど核燃料サイクルは国策として進められているが、課題が山積している=2006年3月、青森県六ケ所村

 「青森県六ケ所村の再処理工場はしゅん工間近。プルトニウムを有効利用するため、実施体制は欠かせない」

 二〇〇八年一月二十九日に西川一誠・福井県知事と面談した資源エネルギー庁の望月晴文長官は、プルサーマル計画の必要性を強調した後、こう続けた。「国全体の電力量の15%を占める関電が実施することは重要で、着実に進めていくための責務もある」

 原発の使用済み燃料を再利用する核燃料サイクルは原子力政策の根幹。その中核となるはずだった高速増殖炉の開発は、一九九五年十二月に起きた「もんじゅ」(敦賀市)のナトリウム漏れ事故で頓挫した。

 もんじゅは今年十月の運転再開を目指しているが行方は不透明で、当面はプルサーマルがプルトニウム利用の唯一の使い道となる。

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 使用済み燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場は、核燃料サイクルの要の一つ。その本格操業が今春にも予定されるが、プルサーマルが進まなければプルトニウムは行き場を失う。英仏に再処理を委託した分も三十トン以上あり、国際的な批判を浴びかねない。

 実際に、青森県原子力立地対策課の八戸良城課長は「当面はプルサーマルでプルトニウムを消費するしかない。プルサーマルが進まなければ、再処理工場の意味がなくなる」と指摘し、関電の準備作業再開を「機会あるごとに国や事業者には着実な推進を求めてきた。長い間止まっていた計画に進展がみられたのは一歩前進」と歓迎する。

 県内原発にとっても再処理工場は生命線といえる。現在行っている使用済み燃料の搬出が一切できないと仮定すると、関電の三発電所は二〇一〇年以降に貯蔵プールが満杯になる。「満杯になれば定検時に燃料を取り出せなくなり、運転に支障が出る恐れがある」(関電)という。

 高速増殖炉が進まない中で、プルサーマルができないと、再処理して出るプルトニウムの使い道がない。だから再処理できず、使用済み燃料がたまっていくという関係。核燃料サイクルの輪は一つが崩れると瓦解しかねない。国策として原子力施設を受け入れた自治体は、常にその負担と向き合っている。

 「プルサーマル単体で考えるのではなく、再処理工場など核燃料サイクルを一体のものとして理解してほしい」。八戸課長の言葉は、電力供給地である本県が消費地に向ける声と重なる。

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 核燃料サイクルの課題は多い。原発の貯蔵プールや再処理工場で収容しきれない使用済み燃料を一時保管する中間貯蔵施設は、二〇一〇年に四千四百トン、二〇年には七千百トンの貯蔵量が必要との試算が出ている。

 関電も建設構想自体はあるが、現段階では「全く白紙」(森詳介社長)の状態。再処理に伴って出る高レベル放射性廃棄物は、地層処分する埋設施設の立地選びが難航したままだ。

 また、プルサーマルで燃やしたMOX燃料は通常の使用済み燃料に比べ放射能や発熱量が大きく、処理には手間もコストもかかる。国は再処理工場の操業終了時(四五年ごろ)に第二再処理工場を稼働させ処理を進める方針だが、具体的な検討は一〇年ごろにしか始まらない。

 関電の計画が中断する間に、プルサーマルを取り巻く状況は様変わりした。九州電力や四国電力は既にMOX燃料製造に着手し、中部電力や中国電力でも地元了解の手続きが進められている。実施に向けた環境は整いつつあるが、原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「つじつま合わせでプルサーマルだけを進めても、核燃料サイクルは遠からず行き詰まる」と警鐘を鳴らしている。

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 プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(MOX燃料)を関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)で使用するプルサーマル計画が再び始動する。MOX燃料のデータねつ造と美浜3号機死傷事故で、二度の中断を余儀なくされた同計画は、県、高浜町の事前了解から八年半が経過した。原発での細かなトラブルが後を絶たず、高経年化や耐震安全性への不安が浮き彫りになる中、県民の信頼と理解を得る努力が以前にも増して問われている。


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