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地元に漂う不安と地域振興の期待 高浜原発プルサーマル 背水の再始動(中)

  • 2008年2月2日
  • 14:35
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英国返還のため輸送船に積み込まれるMOX燃料輸送容器。地元住民にはプルサーマル計画への不安と地域振興に対する期待が交錯している=2002年7月、福井県高浜町の高浜原発
英国返還のため輸送船に積み込まれるMOX燃料輸送容器。地元住民にはプルサーマル計画への不安と地域振興に対する期待が交錯している=2002年7月、福井県高浜町の高浜原発

 関西電力の森詳介社長がプルサーマル計画の準備作業再開を表明した二〇〇八年一月三十日の面談。西川一誠・福井県知事は「話を聞いて感じたことを申し上げるので、記憶にとどめてほしい」と切り出した。

 「プルサーマルは新しい一つのやり方で、県民にも不安はあると思う。通常の原発以上のことを実行することを要請する」。口調をわずかに強めて、情報公開や地元高浜町へのきめ細かい対応を求めた。

 二〇〇四年八月の美浜3号機死傷事故を受け、関電はプルサーマル計画に関する広報活動を自粛した。PR用の横断幕や幟(のぼり)旗(ばた)のほか、路線バスの車体広告や関係車両に張ったステッカーなどを撤去した。その後はホームページなどで必要性を説明するだけだった。

 知事との面談後に記者会見した森社長は、地元町民らへの理解活動について「やらなければならないという思いはあるが、具体的な進め方は今後検討したい」と述べるにとどまった。

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 関電の準備作業再開を町民の多くは冷静に受け止めている。計画が中断した三年半は無駄でなかったというスタンスを示すのは町会の山本富夫議長。「事業者が安全対策などを練り直し、計画がさらに安全になった」との見方だ。

 ただ「何となく怖い」「少し気がかり」など漠然とした不安を示す人も少なくない。原発近くで旅館を経営する石坂幸雄さん(68)=音海=は「計画の必要性は認識している」とした上で、「(プルサーマルが)どういうものか分かっていない町民もいるのではないか」と疑問を呈する。

 「新しい燃料で始める計画の安全性について説明がほしい」と話すのは飲食業の女性(60)=宮崎。美浜3号機死傷事故や新潟県中越沖地震があっただけに「いつ何が起こるか分からない」との思いはぬぐえない。

 一九九九年に導入の是非を問う住民投票実現を目指し活動した「住民投票条例を実現する会」の元メンバー奥村藤治郎さん(83)=事代=は「今の住民意識の尊重が大前提。プルサーマルを行うかどうか住民投票にかけるべきで、今春の町長選の争点にしてほしい」と訴える。条例案は否決されたものの、当時約二千人が署名した民意は今も大きいとみる。

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 プルサーマル計画の推進に向け、国は計画に同意した立地地域に手厚い支援策を講じている。

 〇六年度には本県などを対象とする核燃料サイクル交付金を創設。運転開始までに総額十億円、運転開始後五年間に総額五十億円の計六十億円が交付される。高浜町にはプルサーマルによる発電実績に応じた別の交付金の加算もある。

 核燃料サイクル交付金は、同町と周辺地域の振興に向けた事業計画の策定が要件で、県地域づくり支援課の岩永弘行課長は「六十億円は大きな財源。有効活用できるよう計画の内容を詰めていきたい」と話す。県が進めるエネルギー研究開発拠点化計画でも、関電や国の今後の取り組み強化が予想される。

 同町内で生活する関電社員は三百六十六人。関連会社を合わせると八百二十二人に上り、町内就業人口のほぼ七人に一人が関電関係者という計算になる。地域経済への”還元”も大きい。

 同町議の中には「(再開容認で)県には何らかの見返りが約束されたはずだから、地元にもどれだけ見返りがくるかが今の関心事」と言い切る人もいる。新たな地域振興への期待について、大田常雄副町長は「これまでと同様、共存共栄をお願いしていきたい」と話している。

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 プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(MOX燃料)を関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)で使用するプルサーマル計画が再び始動する。MOX燃料のデータねつ造と美浜3号機死傷事故で、二度の中断を余儀なくされた同計画は、県、高浜町の事前了解から八年半が経過した。原発での細かなトラブルが後を絶たず、高経年化や耐震安全性への不安が浮き彫りになる中、県民の信頼と理解を得る努力が以前にも増して問われている。


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