福井と沖縄、原発と基地のニュースサイト

9キロ先に県庁、事故時対応課題 揺れる原発立地県 東電福島事故から5年(5)

  • 2016年4月1日
  • 14:00
  • Twitterでシェア0
  • Facebookでシェア0
  • Google+でシェア
  • 0
原子力防災訓練で、島根県庁内の放射線防護区画に入るため放射線量の測定を受ける県職員=2015年10月25日、松江市殿町
原子力防災訓練で、島根県庁内の放射線防護区画に入るため放射線量の測定を受ける県職員=2015年10月25日、松江市殿町

 中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)の30キロ圏内の人口は、島根、鳥取両県の6市で約47万人。このうち島根県側は、約20万人が住む立地市の松江市を含む4市で39万6千人を占める。全国で唯一、県庁所在地に原発があり、事故時の県外への避難対応だけでなく行政の業務継続に多くの課題を残す。

 原発から約9キロにある松江市殿町の県庁本庁舎の放射線防護対策は2015年7月に完成。同10月に初めて訓練で稼働した。全国の原発立地道県で、本庁舎の放射線防護対策は例がない。

 県庁本庁舎と周辺には、県職員約1500人が勤務。原発事故時に放射性物質が大気中に放出され、国から避難指示が出た場合も、住民が避難するまでは、防災拠点とならざるを得ない。

 ハード整備が着々と進む一方、マンパワーの確保は心もとない。事故に中核的に対応する県職員の大半が「被災者」となる可能性が高い。県は優先的に応急業務に必要な人員を割り出す方針だが、最も人員が必要な避難者へのスクリーニング(汚染者の被ばく検査)の運用さえ定まっていない。

 例えば、現時点で決定しているスクリーニング地点14カ所を全て開くとすれば、700人程度が必要と想定するが、これとは別に、中国電力や国、自治体などと連絡を取り合う災害対策本部に350人を充てなければならない。家族の避難などを抱えた職員の確保ができるのか不透明だ。

 島根県原子力安全対策課の奈良省吾課長(53)は「県の業務が増える一方で多くの県職員は避難が必要となる。県職員だけで対応が足りるのか分からない」と話す。このため、他地域からのスクリーニング要員の派遣体制も検討している。

 さらに、児童相談所の業務や感染症対策など、事故時でも優先度の高い通常業務の継続的な実施も必要だ。県は、災害対策本部と国の現地対策本部の代替施設として、原発から約28キロ西に離れた出雲合同庁舎(出雲市)を準備。他の県の各部局は、同32キロの県立浜山体育館(同)に移転する予定で、15年度に業務継続計画の策定に着手したばかりだ。

 原子力規制委員会による島根原発2号機の新規制基準適合性審査が進み、早ければ16年度内に再稼働の判断が迫られるとの見方もある中、事故時に県が防災業務と一般行政の役割を両立して果たせるのか。県庁所在地の原子力防災のハードルは高い。(山陰中央新報社)

 放射線防護対策 島根県の行政の原子力関連施設の防護対策は、島根県庁、県原子力環境センター、県原子力防災センター(オフサイトセンター)、県警察本部、松江市役所の松江市内の施設に集中するほか、オフサイトセンターの代替施設となる県出雲合同庁舎(出雲市)でも実施。6施設の総工費は、21億8千万円(実施中の契約額含む)に上る。


基地 from 沖縄 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

基地 from 沖縄 カテゴリーニュース