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迷走重ねる政治判断に厳しい目線 原発の行方・第3章(1)

  • 2012年4月13日
  • 05:00
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安全基準をめぐる国、福井県の動き
安全基準をめぐる国、福井県の動き

 停止した原発を再稼働する前提として政府がストレステストの実施を打ち出した2011年夏以降、関係閣僚らは「再稼働は総合的に政治が判断する」と繰り返してきた。

 当初から福井県内の立地自治体は違和感を抱いていた。「机上の計算」にすぎないストレステストでは安全性を担保するのに不十分な上、判断基準も不明。「テストを受けて点数が出たが、合格ラインが決められていない」(時岡忍おおい町長)からだった。

 一方、福井県は昨年4月から、東京電力福島第1原発事故の知見を反映した新たな安全基準を設定、提示してほしいと幾度となく政府に求めてきた。再稼働の判断材料として「客観的な物差し」が不可欠との考えも根底にある。

 政府は最終局面で「新安全基準」を提示。関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に向け地元の同意、理解を求め、再稼働を政治決断する方針だ。ただ、判断を下し、責任を負うべき政府そのものが信頼に足るか。地元も国民も厳しい目を向けている。

  ■  ■  ■

 原発の安全性確保と再稼働をめぐる政府の対応は、事故直後から場当たり的でちぐはぐだった。

 6月、海江田万里前経済産業相は緊急安全対策と過酷事故対策という“応急措置”のみで早々に「安全宣言」をした。5月には菅直人前首相の要請で中部電力浜岡原発が全面停止していたが、他の原発がなぜ大丈夫かの説明もなかった。

 6月ごろ、福井県に対して水面下で、再稼働を認めるよう経産省の圧力が強まった。佐賀県では7月、国の強い要請を受け入れ、玄海町長が九州電力玄海原発の再稼働に同意した。

 しかし、直後に菅直人前首相はストレステスト実施を表明し、再稼働は宙に浮いた。

 「はしごを外される」ことを地元は警戒した。その後も、県が求めた安全基準はほとんど顧みられず、政府への不信感は募るばかりだった。

 2月21日、国内最多の14基が立地する県内で、最後の1基も止まった。

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 停止が長引く各原発では、実質的な定期検査作業もほとんど終わっている。おおい町商工会の木村喜丈会長(64)は「観光、商業、雇用全てに影響している。原発は国が推進してきたのだから、ちゃんと安全を確認して早く稼働してほしい」と訴える。

 ただ、福島の事故から1年以上経ても、政府や国会の事故調査委員会の検証は継続中。批判を浴びた原子力安全・保安院や原子力安全委員会を再編して設ける原子力規制庁は発足が大幅に遅れる見通しだ。今夏をめどにまとめる原子力政策の見直しも、方向性は全く見えてこない。再稼働するには“暫定づくし”の状態だ。

 政府が示した新安全基準にしても、安全性の確認に必要と認めたというより、厳しい世論をかわしつつ、再稼働に同意が必要な福井県側にすり寄ったと言っていい。

 しかも「ストレステストの2次評価もまだ出ていない。本当に安全が確認できるのか心配」(原子力資料情報室の伴英幸共同代表)として「再稼働は拙速」との批判は根強い。

 国は最終的な結論を12日も持ち越した。

 県幹部は、いらだちを押し隠しつつ、こう漏らす。「原発の安全、安心以上に、政府の信頼性、安定性の方がはるかに心配だ」


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