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技術期待、福井でアジア各国研修 原発の行方・第2章(10)

  • 2012年2月16日
  • 05:00
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福井県国際原子力人材育成センターで講義を受けるアジアの研修生=2012年1月24日、福井県敦賀市の若狭湾エネルギー研究センター
福井県国際原子力人材育成センターで講義を受けるアジアの研修生=2012年1月24日、福井県敦賀市の若狭湾エネルギー研究センター

 「日本の原発の安全技術はグレート。フクシマの後も信頼は揺るがない」。福井県敦賀市の若狭湾エネルギー研究センター内にある県国際原子力人材育成センターで2月3日まで行われた海外向けの研修で、マレーシア原子力許認可委員会のサティミン・スハルディ・ビン技術支援部副科学官(34)はこう語った。

 同センターは、原子力に携わる国内外の人材育成を目的に、県などがエネルギー研究開発拠点化計画の一環として昨年4月開設した。3回目となる海外対象の研修は1月10日にスタート。ベトナムやタイ、インドネシアなどアジア6カ国の原子力技術者や行政官17人が参加し、原子炉プラントの安全対策を学んだ。

 開設直前に東京電力福島第1原発事故が起きた。海外の研修コースは、事故の教訓を踏まえたカリキュラムに変更し、約2カ月遅れで開講した。思うような参加があるのか不安もあった。

 しかし、定員に対して倍以上の応募があり、これまで3回の研修で9カ国の計35人が学んだ。

 河西俊一センター長は「外国から日本の安全技術が期待されている。仮に国内が脱原発の方向となっても、廃炉や放射線管理に技術者の養成は絶対必要」と語る。

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 福島の事故後も中国、韓国は原発の新規建設を着々と進め、ベトナム、マレーシアは2020年ごろの導入計画を維持している。タイ、インドネシアは慎重姿勢に転じたが、アジアの各国は総じて急速な経済発展を支える電力として原発が必要―との基本的な位置付けを変えていない。

 福島の事故があってもなお、アジアの新興国には技術支援や人材育成などの面で原発先進国の日本に期待する声が大きい。

 研修に参加したベトナム原子力研究所のグエン・ゴ・トラン企画・国際協力部長(52)は「福島の事故を受け、より安全な原子炉を導入するためのアドバイスをもらいたい。原子力技術者の育成も非常に重要で、日本の協力を得て達成したい」と強調した。

 一方の日本政府は、国内では脱原発依存にかじを切りつつも、原発輸出の政策は続けている。ベトナムでは原発2基の建設を日本が受注し、官民一体型のインフラ輸出第1弾として計画が進行中。日本原電は現地で建設適地などの事業化調査に協力している。

 ただ「国内では原発を減らし、海外には輸出するのは大きな矛盾」と批判の声も少なくない。

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 新興国から期待されているのは技術や人材育成ばかりではない。「福井県は原子力と共生してきた長い歴史を持ち、タイにとってモデルケースだ」と語るのはタイ発電公社のプラサートウィガイ・ポネグリット原子炉課長代理(53)。原発と地域が共存する姿に興味深げだった。

 若狭湾エネルギー研究センターの来馬克美専務理事は「エネルギー研究開発拠点化計画の中で、国際貢献を目指すのは一つの方向性。安全技術や人材育成、地域共生の考え方をアジアに伝えたい」と今後の展開を見据える。

 拠点化計画は05年、研究開発や人材育成の拠点づくり、地域産業の活性化を目標に策定された。行政、産業界が多様な形で取り組んできたが、12年度の文部科学省の関連予算が半減するなど岐路に立っている。

 2011年11月、同計画の推進会議で西川一誠知事は「アジアや世界に向け、エネルギー全体の問題を解決し、実行するモデル的な地域なんだとメッセージをしっかり発信していきたい」と訴えた。課題先進地としてどんな将来像を示せるのだろうか。


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