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点検の盲点、2次系への甘さ露呈 史上最悪11人死傷・美浜原発事故(上)

  • 2004年8月11日
  • 18:41
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 要注意個所だったはずの配管がなぜか、検査リストから抜け落ちた。関西電力が管理指針を設けてからでも十数年。誰も気付かず、配管の減肉は進んだ。二〇〇四年八月十四日に始まる定期検査でようやく点検しようとした矢先、先送りした問題が一気に噴出するかように、配管は破れた。放射能を帯びないがゆえの二次系設備への認識の甘さが浮かび上がった。

 ■ペラペラ状態

 「目で見た限り減肉は予想以上に大きい。十ミリが二ミリ弱になっている。これだけの減肉はある意味で想定外だが、検査していれば分かるはず。直線部分だからと検査個所になっていない方が想定外」。福井県の依頼で九日夜に現場を見た中川英之福井大教授(電子材料学)は、県の事故対策会議でこう報告した。

 破損した個所は、通過する水の流量を測るためリング状の金属を入れて断面を狭めた「オリフィス」の下流側。「熱流体が渦を巻いた状態になり配管が削れやすくなる」と中川教授は指摘する。

 一緒に現場に入った県原子力安全対策課の寺川和良参事は、薄くなった配管はペラペラの状態だったと語り「あそこまで減肉していて誰も気が付かないとは…」と首をかしげる。

 ■防げて当たり前

 破損に至った原因は、減肉が進んだせいというより、それが見過ごされた体制にある。プラントメーカーの点検登録漏れに子会社の連絡遅れ、さらには関電の対応の遅れが重なった。こうした対応の不備はどこからきたのか。

 関電は「すり減る可能性があるところだけでも数千カ所ある。運転条件が似ている美浜1号機の同じ場所で検査した際は、五十年の寿命があるとの結果が出て、3号機もまだ大丈夫だと思った」と説明する。

 別の電力会社の原子力担当者は「タービン側は火力発電所でも同じなので、知見の蓄積もけっこうあり、大丈夫という安心感があったのか」と推測する。

 原子力に厳しい技術者の一人は「一ミリ減ってダメになるという世界ではない。相当いい加減に計っていても(減肉は)分かる。防げて当たり前の事故だった」と手厳しく指摘。寺川参事も「当初に検査対象から漏れたのも問題だが、一度抜け落ちても再び復帰できるような形になっていないのはさらに問題だ」と問題提起する。

 ■意識の差歴然

 一次系は原子力の基準、二次系は火力の基準―。今回の事故の遠因を説明するように、原発関係者はこんな例えを口にする。

 放射能を帯びる一次系に対しては、厳格な国の検査がかかっている。原子力特有の設備ではない二次系は、電力事業者の自主点検に任されることが多く、どうしても意識の差が生まれる。原子力安全・保安院も「放射性物質を含まないので国の検査の対象ではない」とし、原子力災害ではないことを強調する。

 毎年点検する個所と、長い年月のうちに順番に点検する個所とを分けて対応する重点管理システムを問題視するのは、大阪府立大大学院の長沢啓行教授(生産管理システム工学)だ。「重点でない部分は監視の仕方が軽くなりがち。タービン建屋は二次系で事業者の監視も薄くなる」と話す。

 それどころか、電力各社が懸命に定検の時間短縮を図る現状を挙げ「破損した辺りは配管が長く、コストと時間がかかるだけに、検査項目からうっかり漏れたのでなく、もしかしたら人為的に外した可能性だってある」という。

 二次系の検査や事故対応の在り方を徹底的に点検して、現行の安全基準の抜本的に見直してほしい―。立地自治体や住民の不安を代弁するように、西川一誠知事は中川経産相らに強く訴えた。


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