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原発マネー当て込む美浜町、自立遠く 中間貯蔵施設の行方(下)

  • 2004年7月16日
  • 18:35
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 福井県美浜町が町制五十周年を迎えた昨春、久々子湖畔に町総合体育館が完成した。バレーボールコートならば三面が取れ、各種マシンをそろえたトレーニング室もある。財政難で多くの自治体が箱モノ建設を抑える中、豪華さが際立つ。

 総事業費は約二十八億円。六割は国からの交付金だ。加えて、十億円は寄付金で賄われた事実も判明した。町は寄付の出所を公表しないが、町議らは関西電力、日本原電の名前を挙げ、両社も否定しない。寄付のおかげで町は起債や基金の取り崩しをせずに済んだ。

 原発と町の共存ぶりを立証する一断面だ。

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 保育所、小学校、保健福祉センター、運動公園…。町内のあちこちに交付金による立派な施設が建つ。一九七○年に美浜1号機が運転開始して以来、原発が町に多大な収入をもたらしたからだ。それでも同町には「原発立地のパイオニアの割には恩恵は少ない」という思いが根強い。

 三基の原発のうち1、2号機は電源三法ができる前に建設され、立地時の交付金(旧電源立地促進対策交付金)の対象外だった。○二年度までに町に入った同交付金の累積総額は約四十二億三千四百万円。九年後に1号機が運転開始した大飯町に比べると約三分の一にすぎない。

 さらに、原発立地を促す国の政策として当初は事業者の固定資産税が減免されていた―と今も恨み節のように語られる。

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 財政基盤の強さを示す町の「財政力指数」は○三年度で0・84と県内四位。ただ、原発が立地する四市町で唯一、指数が1を下回り、地方交付税を受けている。町税の柱である固定資産税の八割前後は関電の分だ。

 しかし、先行きは厳しい。原発二基は既に三十年を超え、当面十年間の延長運転に入っている。遠からず廃炉に直面し、そうなれば固定資産税は大きく減る。原発の恩恵で造った箱モノの維持管理費も重くのしかかる。長期的に安定した財源を確保する必要に迫られていた。

 町が当初狙ったのは原発増設だ。だが、電力需要の低迷から関電が乗れる話ではなかった。そこで着目したのが中間貯蔵施設だった。

 同施設の誘致を目指す青森県むつ市は、貯蔵容量六千トン規模で調査開始から運転終了までの約六十年間に、交付金約千二百億円、固定資産税約百五十億円と試算する。美浜町も同等の交付金や固定資産税を見込む。

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 ただ、同施設は、建設時にこそ地元雇用や資材発注もあるが、完成してしまえば雇用はごくわずか。関連する技術を生かし地場産業が活性化する効果も期待薄だ。

 「努力もせず安易に財源を求めている」と松下照幸町議は語り、吉村清原発反対県民会議常任幹事も「原発マネーは麻薬と一緒。その典型」と手厳しい。

 対する町幹部は「原発依存といわれるのはつらい。しかし、じゃあどうすればいいのか。その日その日の町民の生活がある」と苦悩の表情だ。

 原発に頼り、多額の金は入ったが、特色を持った地場産業が育たなかった。漁業や観光は振るわず、民宿の数はここ十年で半分以下に。一方で、就業人口の六分の一は原発関連とされる。

 結局「この町の景気、雇用は原発に頼らざるを得ない」(松下正・町商工会長)のが同町の産業構造だ。中間貯蔵施設を誘致したとしても、それをテコにどんな町をつくるのか。そのビジョンはほとんど語られていない。


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