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美浜町、大揺れ核燃サイクルの消えぬ不安 中間貯蔵施設の行方(中)

  • 2004年7月16日
  • 18:29
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 二〇〇三年六月、青森県むつ市は全国で初めて中間貯蔵施設誘致を表明した。市の累積赤字は年間予算規模の約七分の一に膨れ上がり、財政再建団体転落すれすれ。厳しい財政状況を背景に、六十年間で千二百九十億円と試算する交付金を当て込んで誘致を目指す構図は、福井県美浜町と同じだ。

 市の思惑と裏腹に、青森県の対応は慎重だ。同県は今年二月、東京電力から立地協力要請を受けたものの、いまだ棚上げ状態。資源エネルギー課の鈴木一哉副参事は「まだ検討段階までもきていない」と話す。立地には知事の了解が必要だが、全くめどは立っていない。

 理由は「核燃料サイクル政策が見直されるのでは」との疑念がぬぐいきれないからだ。

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 青森県では、六ケ所村に使用済み核燃料の再処理工場を建設中。不良施工問題で予定はずれ込み続けたが、二年後の本格稼働を目指しウラン試験の認可までこぎ着けた。

 しかし、コスト面や必要性から、原発推進側にも凍結の声は消えない。それどころか、核燃料サイクルの見直し論にまで波及。中間貯蔵した後の使用済み燃料の搬出先となる第二再処理工場の行方も極めて不透明だ。

 しかも、使用済み燃料を埋め立てなどで直接処分した場合のコストは再処理するより大幅に安いとする試算を政府や原子力委員会、電気事業連合会が公表していなかったことが発覚。逆風は強まったかにみえる。

 青森県が神経をとがらせるのは、策定作業が始まった原子力開発利用長期計画(長計)で、位置付けが変わるのではないかという点。「第二工場建設が断念になれば、中間貯蔵施設は”永久貯蔵施設”になるのでは」との不安がある。

 「政策は継続されると思うが、サイクル路線への不安が払しょくされなければ検討できない。今は再処理工場の論議の最中で、中間貯蔵施設はその次の議論」と鈴木副参事。長計策定を慎重に見守る姿勢を示す理由もここにある。

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 「青森の動きは、まさにサイクルが破たんし閉そく状況にあると象徴している」と話すのは松下照幸美浜町議。誘致促進決議に唯一賛成しなかった。松下町議は、町長や町会が誘致の根拠に挙げる「二○一○年に発電所内の貯蔵が限界に達する」との点に「再処理工場に運べないことを前提にした期限。サイクル破たんを認めているのと同じ」と指摘する。逆に、超長期の貯蔵を容認する意見は、サイクル推進派にもある。

 四月に日本原子力産業会議が開いた討論会で、神田啓治京都大名誉教授は、将来の再処理を前提にしつつ、フランスの例を挙げて百―三百年の長期中間貯蔵もあり得ると提案した。

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 商業炉だけで十三基が集中する福井県。現段階で核燃料サイクルの大黒柱となるプルサーマル計画が全国の先頭を切って進み、高速増殖炉「もんじゅ」、新型転換炉「ふげん」も抱える。そして新たな一角として浮上した中間貯蔵施設。

 サイクルの輪があちこちでほころびをみせ、全体としての政策も岐路に立つ中、果たして本県が自己完結的に背負い込むべき問題なのか。リスク回避・分担も念頭に置いた冷静な議論、判断が必要―。そんな声も聞こえてくる。


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