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大飯原発工事未完了でも十分安全? 政府お墨付きも尽きぬ課題

  • 2012年4月15日
  • 16:56
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原発の再稼働を判断する安全基準の成り立ち
原発の再稼働を判断する安全基準の成り立ち

 止まっていた原発が再び動きだすのか―。枝野幸男経済産業相は2012年4月14日、「福島のような事故は起きない」と強調し、関西電力大飯3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に協力を求めた。事故で失墜した原発に対し政府は安全性の“お墨付き”を与えたが、実現に時間のかかる対策もあり、積み残した課題は少なくない。今後、原発の安全確保に対する政府、事業者の姿勢を幅広く検証する必要がありそうだ。

 政府は、大飯3、4号機の安全性を、関電が提出した対策実施計画(工程表)などに沿って確認した。工程表の土台は、事故の調査結果から経済産業省原子力安全・保安院がまとめた30項目の安全対策だ。策定に関わった二ノ方壽・東京工業大名誉教授(原子炉工学)は「(事故の)技術的知見に基づいた対応策という意味では一番しっかりした内容」と説明する。

 電源や原子炉冷却機能の強化など事故後に緊急対策として取り組んだものもあり、関電は短期の対策は全て「実施済み」とする。二ノ方氏も「津波による浸水や全電源喪失に対して、プラントの安全性は相当高まっている」と評した。

 一方、福島で事故収束作業に重要な役割を果たした免震事務棟は、2015年度までに建設する計画。完成までは原子炉建屋に隣接する中央制御室の会議室を緊急時の対策本部として使用するが、福島では中央制御室でも放射線量が高かった。多くの所員がとどまるスペースを確保できるかも課題だ。

 他にも、事故時に格納容器の圧力を下げるため内部の蒸気を放射性物質を除去した上で排出する「フィルター付きベント」設備の設置(15年度まで)、防潮堤のかさ上げ(13年度まで)など、大掛かりな工事が残っている。

 枝野経産相は知事との会見で、これらの対策をわざわざ取り上げ「万一に備えるということで」と繰り返すことで現状でも安全性は確保されていると強調した。そもそも、政府の判断基準は福島のような事態を防ぐことが主眼。過酷事故に至った場合の対策が多い中長期ものは結果的に後回しとなり、「全ての対策が終わった後に再稼働を判断すべきだ」(伴英幸原子力資料情報室共同代表)との批判は根強い。

 「想定外」への備えにも課題はある。4日の県原子力安全専門委員会では、蒸気発生器(SG)を使う緊急時の原子炉冷却に関して、委員の一人は「万一、全部のSGが駄目になった場合はどうなるのか」とし、最終手段として炉心への海水注入の対策を求めた。関電は現時点で検討していないとし、今後考えると答えるのがやっとだった。

 福井大附属国際原子力工学研究所の竹田敏一所長は「新たな安全基準で出発(再稼働)して問題ない」との認識だ。ただ「今(の想定)より大きな津波、地震など、新たな知見が出てくる可能性が十分ある」と指摘し、新知見が判明すればプラントを止めてでも安全性に反映する姿勢がより求められると話す。

 設備だけでなくソフト面の強化も不可欠だ。常駐要員の強化やメーカーなどからの支援体制について二ノ方氏は「(福島事故では)慌てふためいて、きちんとした対応が取れなかったという不信感がある」と教育・訓練の重要性を強調する。

 原発の安全規制を担うはずの安全規制庁が、発足のめどさえ立っていない点でも不安の声はある。与野党対立でいまだ関連法案が審議入りせず、当面は強い批判を浴びた保安院と原子力安全委員会による現行の枠組みが維持される形だ。


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