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核のごみ地層処分へ地下水調査 岐阜の瑞浪超深地層研究所ルポ

  • 2016年2月9日
  • 07:58
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地下300メートル地点で水平方向に延びる研究用の坑道=岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所
地下300メートル地点で水平方向に延びる研究用の坑道=岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所

 原発の使用済み燃料の再処理で生じる高レベル放射性廃棄物の地層処分を研究している日本原子力研究開発機構の「瑞浪(みずなみ)超深地層研究所」(岐阜県瑞浪市)。地下300メートルに坑道が整備され、地下水の流れや水質調査が行われている。マスコミ関係者の視察団として、最新の状況をこのほど取材した。

 「カメラが落下しないようにしっかり首にぶら下げてください」。笹尾英嗣主任研究員ら原子力機構の職員2人の案内で、つなぎ服とヘルメットを身に着けた記者たちが立て坑のゴンドラのようなエレベーターに乗り込んだ。約3分後、地下300メートルに到着すると、水平方向に延びる坑道が視界に飛び込んできた。

 国内の高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体に加工して地下300メートルより深い安定した岩盤に処分することが2000年に定められた。同研究所は地下500メートルまで立て坑を掘り下げ、硬い性質の花こう岩を主な対象に岩盤の強さや地下水の流れ、水質などを調べている。放射性物質を使った研究はしていない。

 「これは1万年前に降った雨水です」。笹尾主任研究員が指さした坑道の岩盤からは地下水がわき出ていた。コンピューターで解析した結果、7〜8キロ離れた山に降ったとみられるという。触ってみると温かい。地下が深くなるほど岩盤の温度が高くなるため「この地点の地下水は、年間を通して23度でほぼ一定している」と説明した。地下500メートル地点でわき出る地下水は2万年前の雨水だそうだ。

 深い地層の岩盤はとてもきめ細かいため、地表付近より地下水の流れが非常に遅い。放射性物質が地下水に溶け出したとしても、岩盤にしみ込んだり、吸着されたりすることで流れがさらに遅くなる。酸素が少なくガラス固化体を包む金属製容器を溶かしにくい特性もある。そのため地表に到達しても、日常生活で受けている放射線に比べて十分に低く、人間の健康に影響はなくなる―との見立てだ。

 地層処分のメリットについて笹尾主任研究員は「人工と天然の多重バリアーにより、高レベル放射性廃棄物を数万年以上にわたって人間の生活環境から遠ざけることができる。技術的に可能」と力説する。これに対し地上での人間による管理は「大地震などの自然現象に左右されやすく、テロのリスクもある」とした上で「将来世代に負担を負わせることになる」と述べた。

 施設用地は2002年から20年間の予定で市から借りており、地層科学研究の終了後に返却することになっている。今後は、施設を埋め戻した後の地質環境の変化も研究していくという。笹尾主任研究員は、地下500メートルの坑道の一部を埋め戻し、センサーで基礎的な調査を始める段階に入っていると説明した。

 視察会は、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業の実施主体、原子力発電環境整備機構(NUMO)が開いた。

 地層処分施設建設地の選定 原子力発電環境整備機構(NUMO)が2002年から受け入れ自治体を公募しているが、選定作業は難航している。07年1月に高知県東洋町が初めて文献調査に応募したものの、住民が反対運動を展開。町長選で反対派の候補が勝ち、同4月に応募を取り下げた。政府は15年5月に新たな基本方針を閣議決定し、国主導で候補地の選定を進める方針に転換した。16年中に「科学的有望地」を示す方針。

 高レベル放射性廃棄物 原発の使用済み核燃料を再処理し、再利用可能なウランとプルトニウムを取り出す過程で発生する廃液。ガラス原料とともに溶かし、ステンレス製の容器に入れて固める。この「ガラス固化体」(高さ約1.3メートル、直径約40センチ)を地上で30〜50年程度冷やした後、金属製の容器(厚さ約20センチ)に収める。さらに粘土の緩衝材で包み込み、地下300メートルより深い岩盤に埋めて最終処分することになっている。


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