なぜ原子力はエネルギーソリューションとなり得るのか?

地球の温暖化とエネルギーの消費は、多くの環境保護団体と一般市民にとって重大な懸念事項となっています。他の従来のエネルギー源にも、悪い点があるということはわかっていても、やはり人々はエネルギーの生産のために原子力を利用するという考えになかなか納得でき

ません。原子力は、極めて危険で毒性があると考えられていますが、他のエネルギー源同様、メリットとデメリットの両方があるのです。 

まず、原子力の主なメリットは、エネルギーの大量生産です。原子力は化学物質を燃焼させるのではなく、核分裂によってエネルギーを作り出します。その後、地球の温暖化の一番の要因である炭素の排気を起こさずに、ベースロードの電力を作り出します。石炭から天然ガスへ切り替えるのは、炭素の排気を大幅に低減させるためであり、これは素晴らしいことです。しかし、石炭から原子力へ切り替えれば、炭素の排気が起こらないため、絶大な脱炭効果がもたらされるのです。 

原子力と放射線の放出

原子力が他の主要エネルギー源よりも放射線放出量が少ないということは、周知の事実です。さらに、発電所は再生可能エネルギー源(化石燃料)よりも高い設備利用率で稼働します。この設備利用率は、原発が実際にエネルギーを生産する時間の比率を表す指標として用いられます。太陽が常に照っているわけでもなく、風が常に吹いているわけでもないため、設備利用率は再生可能エネルギー源の大きな問題となっています。 

さらに、原発の方が放射線放出量は少ないのです。大抵の場合、非核エネルギー源は放射線を放出しないと考えられていますが、実は放出するのです。例えば、石炭は、その点でいうと最悪です。ウラニウムやトリウムなどの放射性物質を大量に含有しています。石炭が燃やされると、その有機物が気化して、ミネラル分が濃縮されて廃棄物(飛灰)となります。世界中で大量の石炭が燃焼されています。つまり、大量の飛灰が放出されているということであり、石炭が実は最大の放射線要因なのです。

核燃料廃棄物の処理は技術上の問題ではない

多くの人々が核燃料廃棄物の処理について懸念を抱いていますが、これはほとんどの場合が政治的問題なのです。例えば、日本では廃棄物処理の問題は、技術的側面よりも政治的側面のほうがずっと大きいのです。 

2011年3月の福島第一原発の事故は大惨事であり、15万人の市民が避難させられました。しかし、発電所の敷地を超えた外までの放射線被曝は、ごくわずかに限られていました。発電所近辺の住人たちには、健康上有害な影響は見られませんでした。 

しかし、核燃料廃棄物の処理は、いまだに政治問題となっており、それは日本国内のみならず、米国においても同様です。

原子力は、地球の温暖化という世界規模の脅威に対するソリューションであるだけではありません。再生可能エネルギーは、その地位を確立しており、素晴らしいソリューションではありますが、原子力エネルギーと違って、電流の均一供給に変動をもたらすことがあります。一方、原子力は、炭素排気量の低減や低コストによる電力供給といった、大きな利点をもたらすため、せめてある程度までは検討されるべきものなのです。